☆保育士ミニコラム☆No.2~卒園の日を迎えて~

  担任 長尾明子

愛しい21名の子どもたちの卒園に際し、担任として長年関わらせていただいた私の思いをここに寄せたいと思います。

 平成22年4月、私は当時、保育士12年目にして初の0歳児クラス担任を務めることになりました。期待に胸を膨らませながら迎えた赤ちゃんたちが、現大はと組の中の数名の子どもたちです。 これまで、主に年長児など、大きい子どものクラスを担当することが多かった私にとって、赤ちゃんと過ごす毎日はとても新鮮でした。経験年数で言えば、”ベテラン”の域に達していたこと、”ひよこ組リーダー保育士”という責任ある立場にあることで、簡単には「分からない」とは言えないので、自分なりに、発達心理学の本を読むなどして、「目の前の赤ちゃんのことを分かりたい!」と頑張っていたことを思い出します。

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(↑Mくん卒園アルバム・0歳児クラスのページより)

 赤ちゃんだった皆は、お腹が空いては泣き、眠くなっては泣き、保育士が側を離れると泣き・・・と本当によく泣きました。そんな小さなあなたたちを見て、「赤ちゃんって大変だな~」、「この世に誕生してまだ数ヶ月。初めて見る物、初めて聞く音、全てが初めてのこの子たちには、不安も恐怖もたくさんあるのだろうな。泣いて当然!」そんな風に感じ、家庭から離れて保育園で過ごす間も、保育士に優しく見守られることで、生まれてきたこの世界への信頼感が育まれるようにと願って保育をしてきたつもりです。

 ある子は、担任への後追いが激しい時期、私が立ち上がっただけで「どこかへ行ってしまう」と思い「ギャー」と泣くので、私は仕方なくその子をおんぶしたままトイレにも行っていました。実生活では子育て未経験の私に、「母親には、いかに忍耐が必要か」という事を実感させてくれました。 また、時間を決めてミルクを与えるような、機械的な授乳の仕方ではなく、赤ちゃんがミルクを欲して泣いたり訴えたりしてから授乳すること、そしてもちろん目と目を合わせながらの授乳であること、ほ乳瓶の乳首のサイズも、容易にミルクが流れ出るようなものでは意欲が出てきにくい、吸いにく過ぎても途中で意欲が萎えてしまう、と考え、あらゆるタイプの乳首を購入し、一人一人の様子に合わせた物を使用して授乳する等、生活の細々したところまでこだわり、意欲、すなわち「生きる力」を育む努力をしてきました。 よく飲み、よく食べ、よく遊び、日に日に活発になって来るひよこ組の子どもたちの為に、「小さくても専用の園庭が欲しい」と上司に掛け合い、(ひよこ保育室北側)テラスの一部のコンクリートを剥がして土を入れてもらいました。「小さい赤ちゃんでも、自然に触れて遊ぶ時の表情はこんなに生き生きしているんだ!」と、ひまわりで取り組んでいる保育に更に自信を得ました。

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 (↑Aちゃん卒園アルバム・0歳児クラスのページより)

こんな風に、持てるだけの力を注いで保育をするうちに、「この子たちが年長児になった時に、もう一度担任したいな。」という思いが沸いてきました。(再び2歳児・すずめ組で担任した後には、「こんなにやんちゃに育てた責任を取らないと・・・」という思いに変わっていましたが(笑)。)

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(↑Kくん卒園アルバム・2歳児クラスのページより)

あひる組、すずめ組、つばめ組と大きくなるに連れ、仲間を増やし、子どもたちは、ありとあらゆる”いざこざ”を経験しました。自分の感情を出し、友だちとぶつかり合うことで、自分が傷つくと同時に、人の痛みにも徐々に気づくことが出来るようになりました。 年長児クラスになり、また担任として関わることになりましたが、この頃になると、一人では成し得ないことも、友だちと一緒なら可能になることを知り、仲間という存在の重要さを感じている姿を目にしました。

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 (↑Mくん卒園アルバム・5歳児クラスのページより)

このように、自由の中でしなやかに育った子どもたちは、何と言っても精神的にタフです。そして、世間一般の現代っ子とはひと味違って、友好的で純朴です。新しい小学校生活では、この純朴さ故に少々の苦労があるのかも知れません・・・。しかし、6年間、様々な経験をして育ってきた子どもたちの力を私は信じています。それは私が、そんな子どもたちの姿に、保育士としての意欲を引き出された一人だからです。

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(↑Aちゃん卒園アルバム・5歳児クラスのページより)

自己肯定感の大切さが叫ばれるようになり、しばらく経ちますが、何かにつまずいた時には、保育園時代のことも思い出して欲しいと思います。 たとえば、アルバムをめくると、そこには、自由にのびのびと遊ぶみんなが居るはずです。友だちに恵まれ、お家の方に、保育士たちに愛されてきたことに気付くでしょう。

 21名のひまわりっこたち、卒園おめでとう!これからも自分らしく成長していってください。ひまわりを巣立った後も、みんなのことを応援しています。

 最後になりましたが、大はと保護者の皆様、我の強い担任にお付き合いくださり、本当にありがとうございました。

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(↑Kくん卒園アルバム・5歳児クラスのページより)